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Journal InTime


2012-03-12 (Mon) [長年日記]

_ 好きな食べ物

だんだん子供が大きくなってきて、色々な質問を受けるようになってきた。「宇宙はどうやって出来たの」とか「死んだらどうなるの」とか「生き物は何で生まれたの」みたいな重い質問もあれば、「お父ちゃんの好きな色は?」といった他愛のないものもある。ときどき「お父ちゃんの好きな食べ物は?」と聞かれると、何となくたこ焼きと答えている。

考えて見れば、大人になってから改まって好きな食べ物を聞かれる機会はめったになくなったような気がするが、子供の頃はことあるごとにこういったやり取りがあったように思う。例えば文集のネタとしては、将来なりたい職業などとともに定番の設問だろう。小学校の文集ではたこ焼きではなく、迷った末にステーキと書いていたのだが、当時クラスメートだった某有名製陶会社の社長の息子がカレーと書いているのを見て、ハンマーでガツンと殴られたような衝撃を受けたのを覚えている。ああ、やっぱりお金持ちの子は違うな、ステーキなんて書いた自分は何て浅ましいのだろう、と思ったものだ。実家ではなぜか毎週土曜日の昼はカレーと決まっていて(祖父が軍隊にいたせいかもしれない)、母親が作る甘ったるいカレーにはほとほとうんざりしていたので、なおさらカレーという回答に衝撃を感じたのだが、今思えば好きな食べ物がカレーというのはごく普通の回答かもしれない(ここで「僕はカレー」「私、ハンバーグ」「さあ、たいへん。ああ、そうだ、これこれ、オリエンタルのハンバーグカレー」というCMのフラッシュバック)。

そういった経験も影響して、最近はたこ焼きという庶民的な食べ物を答えているのかもしれないが、よく考えるとたこ焼きはカレーよりはステーキに近いカテゴリの食べ物であるようだ。つまり、カレーがケの食べ物であるのに対し、ステーキやたこ焼きはハレの食べ物だということだ(少なくとも僕にとっては)。好きな食べ物を聞かれた時にどちらのカテゴリの食べ物を答えるかによって、その人の食べ物に対する基本的なスタンスを垣間見ることができるのかもしれない。

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